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チロルと魔法ねこ。
鈴本 海留
「春沢。起きろ。おい!起きろ!!!」
パチッ。私の目が開く。どうやら今は授業中らしい。
あーぁ、せっかくいい夢見てたのに。
「なんでしょーか、稲田先生?」
「な、な、春沢!後で職員室にこ〜い!」
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン。チャイムだ。
「これで終わる。ありがとうございました。」
「ありがとうございました!」
さて、私の名前は 春沢 ちろる。
うん。ひらがなで、ち・ろ・る。年齢は11才。
「ちろぉー!稲田センセー大丈夫だった!?」
「あのね、梨蘭。危害を加えられたわけでもないし。大丈夫。」
この子は、梨蘭。りらって読む。私と同じ、変わった名前。
3才のときからの親友なんだ。
「でも職員室・・・。」
「行かない。・・・私もう帰るね。」
「ちょっ!まだ3時間目・・・!」
わかってる。私は左手をヒラヒラとふると、ランドセルをしょって帰路(きろ)についた。
「ニャー、ニャァー。」
「ん?猫?」
猫。とんがりぼうしをかぶった、黒い猫。私は猫が大好き。そこで、
「猫ちゃん、おいでー。」
と言った。
「おまえ、ちろるっていうんだろ。」
へ?私はあたりを見回したけど、だれもいない。ってことは・・・。
「き、君がしゃべったの?」
「だから、聞いてるだろ!!」
や、や、きゃ〜〜〜!
「猫があわふいてしゃべったー!!」
注・あわふいたのは自分です。
「ろる。ちろる!」
「はわあッ!」
ちろるったら、道ばたに倒れてたのよ。もう。それにまた早退して・・・。
これはお母さん。(ママ)
ねこ・・・ママ、ねこは?」
「?。ねこ?あ、ぼうしをかぶってた!?」
「うん!私、あのネコ飼う!」
と言った。私は何かをほしがったことは無いので、ママは驚いたみたい。
「えっ!?ちろる、あの仔(こ) 、ほしいの?」
「うんっ。ぜ〜ったい、お世話する!」
そういう私の目は、キラキラしてたという。
「しょうがないわね。でも・・・。」
私は、早退しないと言う約束で、あのコを飼ってもらうことになった。